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食と物流

category : メールマガジン2022 2022.2.28 

立春の時期も過ぎましたが、今年の冬は寒い日が多いと感じております。
皆様お加減いかがでしょうか?
世間では新型コロナウィルスの第6波が猛威を振るっております。
無理をなさらず、ご自愛くださいませ。

さて、今回は国内の物流と食品とフードデリバリーサービスについて考察をします。
人間が生きていくうえでは、食べないと生きていくことが出来ません。
人が生きていくうえで重要な食料品の購入先は皆さんどうされているでしょうか?外食やスーパー・コンビニエンスストアなどの小売店、最近では自動販売機など様々な購入先がありますが、いずれも物流が密接に絡み合います。

コロナ禍を受けて、不要不急の外出控えが唱えられ、外食店舗などに大きな打撃・変化が訪れています。
商品(料理)を作ってもお客様が来られなければ提供販売することが出来ない状況です。

その中で、フードデリバリー業界において5%は新型コロナウイルス感染拡大後にはじめて利用との報告があります。https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/internet/assets/caution_internet_201225_0001.pdf
参考:消費者庁-三菱UFJリサーチ&コンサルティング@フードデリバリーサービスの動向整理

2000年頃からサービスが開始された出前館や2016年に日本でもサービスが開始されたUberEatsなどが目を引きますが、消費者向けには昔から「出前」という販売・流通がありました。
昔は、地元の飲食店からの出前にはインセンティブ等の要素はあまりなく、最低料金の設定程度でお店で提供している価格で料理を宅配してくれる場合が多かったと思います。
食品輸送に関わる店舗からの宅配アウトソーシングと捉えたフードデリバリーサービスはコロナ禍において新たな局面を迎えていると考えられます。
配達員についても2022年時点で、様々なフードデリバリーサービスの配達員を見かけますが、黙々と配達が出来るエリアの配達員は月収100万を超える方もいらっしゃるようです。

フードデリバリーサービスを取り巻く問題点は、
・道路交通法
・労働安全衛生法
・食品衛生法(食品表示法)
・税制法
・企業コンプライアンス
などがあげられると思います。

話は変わり、食品が外食店舗や小売店にたどり着くまでの物流を考察します。
食料品の物流に占める割合はTOP5に入ります。
また、食品流通の97%がトラック便となり、5つの特徴が挙げられています。
https://www.mlit.go.jp/common/001354690.pdf
参考:国土交通省@物流を取り巻く動向と物流施策の現状について

① 手積み、手降ろし等の手荷役作業が多い。
② 出荷量が直前まで決まらないこと、市場や物流センターでの荷降ろし時間が集中することにより、待ち時間が長い。
③ 品質管理が厳しいこと、ロットが直前まで決まらないこと等により、運行管理が難しい。
④ 小ロット多頻度での輸送が多い。
⑤ 産地が消費地から遠く、長距離輸送が多い。
問題点として、輸送費の引上げだけでなく、取扱いを敬遠される事例が出てきている。
との報告があります。

輸送費には当然燃料費が連動します。
昨今のガソリン代の高騰に関して、13年ぶりの170円台突入を受け、初めての「価格抑制策」が実施されました。
具体的には、レギュラーガソリンの全国平均が1リットル170円を超えた場合、エネオス、出光、コスモといった元売り各社に1リットル最大5円を支給することを資源エネルギー庁が2021年1月27日から発動しました。
ガソリンの高騰は複数の要因があり、原油価格の高騰が原因ですが、供給量の低下に加え、円安傾向が続いていることも影響しているそうです。

物流業界を取り巻く問題点は、
・労働力不足
・トラックドライバーの高齢化
・拘束時間と賃金体系
・ガソリンなどの輸送経費
などがあげられるかと思います。

全国を対象とした食品の販売を考える場合は輸送費が切っても切れない関係になります。
昨今の食料品の値上げは食品原料の価格高騰に加え、輸送費の値上がりも要因です。

昨今の食品の値上げを見てみると、
小麦粉・牛乳・ツナ缶・サラダ油などが2013年から2021年までで指数として+15~+20ほど上がっている統計となっています。
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/anpo/kouri/attach/pdf/gaiyou-1.pdf
参考:農林水産省@食品価格動向調査(加工食品)

価格推移の理由は食品それぞれに要因は異なるとは思いますが、いずれも輸送費の高騰は含まれるものと思います。

話を終息させていきます。
食品購入における要素として、安心安全・価格・価値がありますが、価格の中に輸送費が含まれる場合があり、それは消費者の目には見えづらいことが多いと思います。
また、いわゆる通販などで送料別となるお取り寄せやフードデリバリーサービスについても、店頭価格との差で利用をしり込みする方もいらっしゃると思います。
2018年のデータになりますが、デリバリーを利用しない理由の4割は金額が高いことがアンケート結果でありました。
デリバリーの利用頻度で「利用しない(40.4%)」と回答した方に、利用しない理由を聞いてみたところ、年代に関係なく「金額が高い(43.8%)」次いで、「面倒くさい(36.4%)」「少量で頼めない(15.6%)」という結果となりました。年代別でみると、30代のみ「面倒くさい」が「金額が高い」を逆転していました。
このうち、コロナ禍を鑑みると面倒くさいのと少量で頼めないという状況はフードデリバリーサービスのサービス改善により解消が見込まれているのではないでしょうか?
UberEatsなどでは、1円からでも注文でき、最低利用金額はありませんし、アプリへの個人情報の登録などにハードルを感じている方は利用が難しいかもしれませんが、受取が面倒くさいという方はコロナ禍における置き配等の対応により、配達員と顔を合わせることなく受け取れることなどが可能となっております。

人口の多い大都市部の消費者への食品流通サービスはサービス価格面はさておき、充実していっている流れとなりますが、物流面の課題は残されたままであると感じます。

今後の食品関連業界の発展のためには物流業界を発展させることも視野に入れていかなければならないと感じております。
原材料・労働輸送・消費者これら3種のいずれかが凹んでいても業界が良くはなりません。
三方良しの実現のため、原料から消費者まで行き届いた商品提供サービスを改めて意識し、構築していく必要があると同時に、行政サイドに訴えていく必要があると考えます。

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