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プラントベース食品

category : メールマガジン2021 2021.11.30 

2021年8月に消費者庁が「プラントベース食品等の表示に関するQ&A」を公表しました。
消費者庁へプラントベース食品関連の問い合わせが増えたため、見解を公表したと考えられます。
それほど増加しているプラントベース食品について考えてみました。
また、プラントベース食品についての講演を聞く機会がありましたので、その内容も交えて記したいと思います。

2020年に様々なプラントベース食品が発売されましたが、食肉加工メーカーが力を入れたためか、ソイミートを使ったハンバーグやソーセージ、ハムなどが目立った印象です。
オーツミルクやアーモンドミルクなどのプラントベースミルクも販売されていますが、ソイミートほどは新商品が出ていないようです。
プラントベースミルクは牛乳の代替というよりは新しい飲み物というイメージを個人的に持っていますが、ソイミートは名前からも肉の代替というイメージをぬぐえないでいます。
プラントベースミルクは豆乳が昔からあったため、違和感無く受け入れられたのかもしれません。
プラントベース食品の特徴を考えると、代替食品ではなくもっと違った視点から商品設計をした方がいいのではないかと思いました。
プラントベース食品の特徴を3つ挙げると下記のようになると考えられます。
・低アレルゲン
・多くの宗教に対応できる
・持続可能性(サステナビリティ)

・低アレルゲン
日本での食物アレルギーにおいて半数超を占める卵、乳製品を使用していませんので、その製品を食べられる消費者が増えます。
実際には複数のアレルゲンが原因であることが多いのでそこまで単純な話ではありませんが、子ども向けの食品をプラントベースで開発することは、特に子どもに多い食物アレルギー対策にもなります。
また、食経験は非常に重要ですので、子どもの頃から慣れておくことで、将来的な消費拡大も見込めるかもしれません。

・多くの宗教に対応できる
いくつかの宗教では戒律で摂取できる食品を制限しており、外国人観光客が食べられる食品が少ないことが数年前には課題となっていました。
2018年頃からはハラール、コーシャ対応の食品が徐々に増えてきましたが、プラントベース食品であればそもそも問題になることがありません。
これは食品メーカーだけではなく、外食産業にとっても必要なことです。
グランドメニューにプラントベースの料理があれば、わざわざ準備することもなく宗教的な制限のある方にも提供できます。
特別なオペレーションは不要ですので、外国人観光客を受け入れることがキッチンの負担増にはつながりません。
2022年には外国人観光客の受け入れが始まると予想されますので、プラントベースメニューの開発は急務であるとも言えます。

・持続可能性(サステナビリティ)
御存知の通り、畜産業は広大な面積と多くの飼料や水が必要であり、投入した資源に対する肉や乳、卵の生産性は高くありません。
また、アニマルウェルフェアが注目されており欧州では鶏の従来型ケージ使用が禁止されるなど、飼育環境への配慮が必要になり、必要な資源はさらに増える傾向にあります。
また、水産資源も減少が懸念されており、養殖が盛んになっていますが、技術的課題により養殖が難しい魚種も少なくありません。
プラントベースであれば、原料である農作物はある程度計画した通りの収穫を見込めます。
さらに、カーボンフットプリントの観点からも、なるべく消費地に近い農地での生産が望まれています。

さて、以上のようにプラントベース食品を開発することは、多くのメリットがあります。
しかし、多くの消費者にとってプラントベース食品は自分には関係ない商品という認識です。
ミートフリーマンデーという活動が徐々に広がっているようですが、まだ多くの方に認知されているわけでは無いようです。
そのため、プラントベース食品であることが消費者に一目でわからない、もしくは他の食品との違いを意識できないことが重要かと思います。
そういった意味でいまさらながらすごいと感じたのが、グリコの「植物生まれのプッチンプリン」です。
https://www.glico.com/jp/product/yogurt_pudding/pucchinpudding/34877/
パッケージは木の葉が舞った「緑」を想起させるデザインですが、「ヴィーガン」「ベジタリアン」などの表記はなく、プラントベース食品であることを前面に押し出していません。
植物生まれだから体に良さそうというイメージを抱くぐらいだと思います。
このように消費者に受け入れやすい工夫が必要であると考えています。

2020年はプラントベース食品が日本において本格的にスタートした年であると言っても、過言ではないかもしれません。
多くのプラントベースミート商品が一挙に発売され、注目を集めるようになりました。
しかし、まだまだ市民権を得たとは言い難い状況が続いているかと思います。
日本には、もはや本物と区別がつかないカニカマや人工イクラを開発してきた経験があります。
プラントベース食品がその1つに加えられる日も近いかもしれません。

プラントベース食品等の表示に関するQ&A/消費者庁
https://www.caa.go.jp/notice/other/plant_based/

平成30年度 食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書/消費者庁
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/pdf/food_index_8_190531_0002.pdf

ミートフリーマンデー/ミートフリーマンデーオールジャパン
https://www.meatfreemondayjapan.com/

急成長するプラントベースフード/プラントベースジャパン株式会社
*第9回関西デザート・スイーツ&ベーカリ展における講演
https://www.plantbased-japan.com/

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