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都風俗化粧伝(みやこふうぞくけわいでん)

category : メールマガジン2008 2008.6.1 

緑感じる季節になり、初夏を思わす日差しになりました。
紫外線がきつくなりそろそろ日焼け対策の用意は大丈夫ですか?
最近は女性だけではなく美白に熱心な男性もいるらしいですね

ところで『母の日』の始まりはアメリカのアンナ・ジャービスという女性が、「母に感謝する日を祝日にし、国中で祝うこと」を提案し、1914年に正式にアメリカの祝日に認められそれが世界中に広がったことから生まれました。
日頃の感謝を表す日です。遠く離れてる方もお母さんに『ありがとう』を言いましょう.

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抗酸化物質配合の「アンチエイジング化粧品」、田中宥久子さんの「造顔マッサージ」、
化粧品口コミサイト「@cosme」・・・
ここ最近、女性たちの間で空前の美肌ブームが巻き起こっています。

この一連の美肌ブームの特徴は、メイクアップよりもスキンケアを重視すること。
つまり素肌美を追求し、肌の張りや弾力性、瑞々しさといったものを取り戻して、若返らせることにあります。
そしてこのコンセプトは、若い世代からお年寄りまで幅広く受け入れられるものだったために、ブームに一層拍車をかけることになりました。

ちなみに、現在広く一般的に行われているメイクアップ技術を普及させたのは、ハリウッド黎明期から活躍し、世界初のメイクアップアーティストになったマックスファクター1世です。
「メイクアップ(make up) = 化粧する」の語源は、彼が無表情に演技する女優を見て「もっと豊かな表情を!(Make Her Up!)」と発した言葉から生まれました。

また、彼は今では当たり前となっている数々の化粧道具を世に送り出しています。
特にケーキ状ファンデーションの「パンケーキ」は、当時モノクロからカラーへと移行する時期も重なり、映画女優たちにとって欠かせないものとなりました。

これら西欧のメイクアップ技術が、日本に流入するようになったのは大正末期からですが、実は化粧が庶民に広く受け入れられるようになったのは、世界でも日本が最初だと言われています。
特に江戸時代に大きく花開き、庶民向け化粧品店も多数開かれています。
そしてこの時期、世界初の庶民向け化粧マニュアル本が発売されることになるのです。
その本の名は、『都風俗化粧伝』(みやこふうぞくけわいでん)。
文化10(1813)年に発売されたこの本は、驚くべきことに大正12(1923)年までの約110年間、ずっと増刷され続けたロングセラー本になりました。
その内容はおしろいの塗り方や口紅の塗り方、顔の造作別に示した眉やアイラインの引き方といったメイクアップ方法はもちろん、手足のお手入れ方法、黒髪を美しく見せる方法、帯の結い方、さらには背の低い人を高くみせる着こなし方など、実に様々なテクニックが挿絵つきで説明されています。

しかし、当時の女性たちが一番求めたのは、肌の白さときめ細やかさでした。
つまり、現在の美肌ブームと同じく、メイクアップではなくスキンケアを重視していたのです。
そのスキンケアで活躍するのが、数々の「食品」です。

例えば、米ぬか。
彼女たちは、銭湯へ行くと、米ぬかを木綿袋に詰め、このぬか袋で肌を磨き上げたそうです。
それほど、米ぬかの美白効果は高く、この効果のほどは、現在でも米ぬかが化粧品に配合されていることからもよく分ります。
それから、米のとぎ汁。
米のとぎ汁は、今でいう顔パックの代替として使用していました。
米のとぎ汁を漉して天日に干し、それを顔に塗ったまま寝て、翌朝洗い落としたそうです。
この方法は自然美容法の一つとして、今でも紹介されています。
また、顔パックには豚のひづめを煮詰めたものを利用することもありました。
江戸時代のコラーゲンパックというわけですが、200年も前から実践されていたんですね。
その他にも、ふのりや小麦粉を使用した洗髪、ごま油を使用した養毛法、黒ゴマを使用した白髪予防・・・
といった具合に、実に多彩な食材を利用した美容法が載っています。

この本で個人的に一番びっくりしたのは、わきがの治療に古銭を使用する方法が書かれていたことです。
なんと、江戸の人たちは200年も前に金属イオンの消臭効果に着目していたのです。
化粧品になると、ついつい欧米の高級化粧品に目が行きがちですが、『都風俗化粧伝』に書かれている、日本の古来の美容法「食材を利用したスキンケア」は、現在でも十分に通用するもので、先人の知恵の奥深さに、感心するのでした。

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