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各国の食品と税の考察

category : メールマガジン2019 2019.10.31 

去る10月1日より消費税の増税が実施されました。
業界的にはイートインの食品・料理は10% 持ち帰る食品は8%といった
軽減税率制度に加えてキャッシュレスによる消費者還元も実施され、
レジシステムなどのシステムを含めた非常に複雑化した状況とも考えられます。

今回の増税に際し軽減税率の導入については
低所得者の負担を軽減するために消費税10%への増税に合わせて、日本で初めて導入された制度です。
増税前から話が出ており対象の話が話題を呼んでおりました。
ざくっと対象は
・外食と酒類を除く飲食料品
・定期購読の新聞
となっております。
新聞は、「一般社団法人 日本新聞協会」の見解では
・ニュースや知識を得るための負担を減らすため
・活字文化の維持・普及のため
・EU加盟国でも、新聞の税率を下げている国が多数ある
との理由から軽減税率の対象となっているようです。

軽減税率の導入自体は賛否両論あるようです。
いつの時代でも政策においても良い政策だったかどうかは
あとからの評価になってしまいますね。

キャッシュレス化に紐づけて軽減税率を導入したのは
大きな試みなのではないでしょうか?

そのキャッシュレス化については
「『日本再興戦略』改訂 2014 」においてキャッシュレス決済の普及による決済の
利便性・効率性の向上を掲げたことを発端として、
2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会開催等を視野に入れた
キャッシュレス化推進を経産省が押している状況です。

少子高齢化や人口減少に伴う労働者人口減少の時代を迎え、国の生産性向上を図るために
・実店舗等の無人化省力化
・不透明な現金資産の見える化
・流動性向上
・不透明な現金流通の抑止
・支払データの利活用による消費の利便性向上
・消費の活性化
などを期待しているとのことです。

キャッシュレス化の恩恵を受けるには技術の進歩についていかなければならず、
スマートフォンへのアプリの導入をはじめ、クレジットカードや銀行口座との連携登録も
必要であり、手続きに煩雑さを覚えます。

軽減税率とキャッシュレス化において個人的に気になる点として、
低所得者の負担を軽減する目的の軽減税率は結局のところ、
低所得者・高所得者に限らずすべての人に適用され、
キャッシュレス化についてはすべての人に機会は与えるものの、
その恩恵を受けるには何がお得なのか?などの情報を精査し、適時最適な支払方法を
選択しなければならないといった煩雑さが伴った方向性となっており、
なんとなくもやもやした気持ちが残っている次第です。

そういった状況となった日本ですが、オリンピックに万博を控え、
観光面・インバウンドといったグローバライズと訪日外国人の増加を鑑みて
世界各国は食品と税、そしてキャッシュレス対応がどのような状況なのか
調べてみました。

2014、5年の情報なので少し情報が古いですが、キャッシュレス化の普及は
韓国で89% 中国で60% カナダで55% イギリスで54% オーストラリアで51%
といった普及率だそうです。

また、キャッシュレス支払いの種類の内訳としては
クレジットカードの割合が多い国と
デビットカードの割合が多い国に大別されるようです。
プリペイドカードはいずれの国もほとんど普及していないようです。

諸外国のキャッシュレス化の背景の一つに
偽札・現金強盗などの犯罪対策としてのキャッシュレス化があげられておりました。
実店舗でも現金拒否の店舗も存在するようです。
日本でも新たな試みとしてキャッシュレスオンリーの店舗が出てきました。

また、通貨危機を受けた政府主体のキャッシュレス化というのも
推進・普及の理由になっているようです。

なお、日本がキャッシュレス化において諸外国から後れを取っている理由として、
「治安の良さ」、きれいな紙幣と偽札の流通が少ない「現金に対する信頼の高さ」等も
理由に上がっているようです。

キャッシュレス決済アプリは各国で開発され、日本においてもここ最近爆発的に増えています。
どのアプリがどのサービスの支払いに最適なのかという悩みが続きます。

合わせて、キャッシュレス社会に対する不安として、
「浪費しそうだから」、「お金の感覚が麻痺しそうだから」といった使いすぎの不安を挙げる声があるようです。
システムセキュリティの問題も事実発生しておりますし、年配層の不安として 、
キャッシュレス社会になった際にキャッシュレス支払手段を「使いこなせないのではないか 」、
「店に嫌がられるのではないか」といった不安の声もあるようです。

さて、軽減税率についても各国の情報を調べてみました。
調べた50か国の範囲で基本的に生活必需品(特に食品)については軽減税率が導入されており、
標準税率と10%程度の差があることが多いように感じられました。
生活必需品について非課税の国もありました。

世界各国がこのように食品と税制をコントロールしているところを考慮すると
生活するために必要なものからは税を取らず、それ以外の消費活動について
国として税を取るといった考え方が主となっていると考えられます。
消費生活における累進課税のようなイメージですね。

当初軽減税率が導入された経緯も合わせて考慮すると、日本という国では
まだまだ、消費税に対する賛否両論は存在し、税制社会の変化が煩雑だと
感じてしまっております。

今まで存在しなかった軽減税率といった政策にキャッシュレス化がセットになり、
自分自身が対応しきれるのかという不安もありますね。

そもそも生活するための食品という部門において設定された軽減税率に対して、
「お得を謳うキャッシュレス化」が同時に侵攻してきたおかげで
何が最適かを悩んでしまっている状況です。

そして、生きるために食べる という視点においては、
現在では投機筋など食品と経済は密接に紐づき、とくに先進国では
生命活動のための食から経済的武器になっている食品ですが、
消費者としての目線では生きるために食べるものであるという点が
根本として政府も軽減税率という対策をもってそこを支援したというポーズであるかと思います。

軽減税率の考え方が今後進むことになると
「生活必需品(生きるための食)」と「美食など付加価値のついた食」の考え方も
いずれ大別しなければならない時が来るのではないかと考えます。

個人的にはそこまで考慮するのであれば生活必需品に対してはもう少し違う行政対応もあったのでは
無いかと思いますが、やはり、食品と経済、特に食品に紐づく付加価値は破棄しがたい経済的要素だと考えます。

軽減税率においても、キャッシュレスにおいても自分が納得できる日々を送れることを祈ります。

参考URL
https://www.keigenzeiritsu.info/article/17949
消費税・軽減税率情報Cafe

https://www.meti.go.jp/press/2018/04/20180411001/20180411001-1.pdf
経産省@キャッシュレス・ビジョン

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