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トイレにおけるノロウイルスのリスク

category : メールマガジン2014 2014.12.10 

この寒い時期となると、食中毒事故で考えるとノロウイルスがう
かびます。
冬場に多い食中毒事故ということで注意喚起や報道されることが
多いですが、実は年中発生している食中毒事故です。
そのノロウイルスについて人から人へ最も感染しやすい「トイレ」
でのリスク、注意点を改めて考えてみたいと思います。

トイレにおいて感染する場合として
①「嘔吐」
②「下痢」の症状、
③トイレを退出するまでのドアノブ、スイッチ等による「間接的
 な接触」
の3つがあげられます。
工場においては、体調管理でそういった症状の場合は出社させな
い等の処置をとられている所が多いと思います。
実際にノロウイルス感染者がトイレで「下痢」「嘔吐」を行い、
その後トイレからどのようにノロウイルスを工場内に持ち込むの
か、あるいは他の方に感染させるのかを見ていきたいと思います。

「嘔吐」において感染を拡大させる原因となるのは、嘔吐物の飛
散、ウイルスを飛散させることで、他の人がトイレを利用した際
に空気中に浮遊するウイルスで感染するというものが多いです。
一体、どの程度飛散するのかというと、
・床面での飛散は1m程度の高さからの嘔吐の場合は半径2mの範
 囲。
・80cm程度の高さからの嘔吐では、3時間後には160cmの高さの範
 囲。
・飛散したものが空気中に滞留する時間は80cm程度の高さからの
 嘔吐の場合は1時間近くは滞留する可能性があります。
つまり、1人の方の「嘔吐」により1時間近く、同じトイレを利用
した方がノロウイルスに感染する可能性がある、ということです。
(詳細は、下記文献をご参考下さい。)

「下痢」については、感染を拡大させる原因となるのは、自身の
身体にノロウイルスをつけてしまい、工場内を移動するというこ
とが多いです。
身体にノロウイルスをつけてしまう、ということはどういうこと
かといいますと、「下痢」を行うことにより、
自身の臀部周辺を汚染させる、
あるいは排便後のふき取りにおいて手や手首だけでなく、袖口ま
で見えないレベルで汚染させていることが多い為です。
いずれも目に見えないレベルでの汚染です。
なお、手への感染はトイレットペーパーを10枚重ねて排便後のふ
き取りを行っても手にノロウイルスが残存している場合がありま
す。
臀部周辺の汚染は製造服との接触、あるいは更衣という行動で製
造服に付着させてしまう
可能性があり、袖口の汚染は作業中への食品の汚染、その部分の
乾燥による飛散により工場内にノロウイルスを感染させる可能性
があります。

そして、最後の「間接的な接触」です。これはノロウイルスだけ
でなく他の食中毒の原因や汚染拡大にもつながります。
ノロウイルスにおいては、どの程度感染が継続されるかというと
ノロウイルスの付着した手でドアノブを触った後に他の人が手を
触れるといった行為では2人目の人まで付着させます。
更に、その手で同じ原料を10回手でとりわけを行うと6回目まで
ノロウイルスが検出されています。
このように、ドアノブ等を介した食品までの汚染は非常にリスク
が高いのです。
間接的な接触における感染は以外な所にもあります。それは、
「ジェットタオル(ハンドドライヤー)」です。
ペーパータオルではなくコストダウンにもなり便利と思っている
かもしれませんが、注意点はあります。
それは、風の吹き飛ばしによる手の水分の飛散です。
飛散は機械の上部と左右、左右の床面に飛散することが確認され
ています。
つまり正しい手洗いをしていない場合はその周辺にノロウイルス
を飛散させていることになります。

このようにトイレを例にあげるだけでもかなりの感染源になると
考えられます。
ノロウイルスに関する事故を起こさない為にも、
従業員の体調管理には十分に気を配って頂く、
あるいは設備関連の清掃の徹底、
有症時の対応方法を予めマニュアル化しておき、
忙しい年末年始の生産を乗り切りましょう。

参考
ノロウイルス対策緊急タスクフォース 東京都福祉保健局
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/hyouka/files/22/22hyouka1-shiryo3.pdf
トイレを起点とするノロウイルス汚染拡大の検証 長野県北信保健福祉事務所
http://www.pref.nagano.lg.jp/hokuho/syokuhin-anzen/documents/toirenoro.pdf

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